毎年1回開催される全国通訳案内士試験の2次試験の対策は、どのように準備したら良いだろうか?と悩んでおられる方も多いと思います。
過去問で対策をしようと思っても、私が受験した2009年と最近の2018年の2次面接試験について比べてみましたところ、試験方法や内容が随分変わっているようです。
時代に合わせて、また、観光業界の現場の状況に合わせて、試験の内容も少しずつ変わっていると考えられるため、過去問をやれば合格できるというわけではなく、試験対策が難しいのが大変なところだと思います。
ただ、試験方法が変わってきたとはいえ、説明すべき内容は「日本に関すること全般」であり、自分の語学力や通訳案内士としての資質や適性があるかどうかを試す試験ですから、基本的な対策方法はそれほど変わらないと思います。
今回は、通訳案内士試験の2次試験に独学で受験する方に向けて、私が合格前に取り組んでいた方法を中心に、新しい試験対策としても十分通用するであろう勉強方法をまとめてみました。
全国通訳案内士2次試験に独学で挑む方法
以下は、2次試験対策として、おすすめの勉強方法です。
これから受験される方の参考になれば幸いです。
スタートダッシュが肝心!計画に余裕を!
2次試験は、当たり前ですが、1次試験が受かってからでないと受験資格が与えられませんから、準備となる勉強や対策が後回しになりがちです。
1次試験前は、1次試験のことで頭がいっぱいになっているので、2次試験まで手を伸ばせる余裕がないという方も多いことでしょう。
実際、私がそのような状態でした。
通訳案内士試験の受験前、私は2年計画を立てていました。
1年目で1次試験のうち数科目に合格し、残りの科目と2次試験は次の年に受験しようと考えていましたので、2次試験対策を全くやらないまま1次試験を受験しました。
運よく1次試験を1回で合格できたのは幸運だったのですが、まさかすぐに2次試験までたどり着くと思っていませんでしたので、慌てて付け焼き刃の対策をしましたが、予想通り、2次面接は撃沈でした。
質問に対して全然、明確に答えることができないという経験をし、悔しくて恥ずかしい思いを経験しました。
ただ、この経験は、今では逆に良かったと思っています。
次の1年間は、2次試験対策にすべての力を注ぎ込むことができたからです。
受験前は、1次試験の対策で大変だとは思いますが、2次試験対策も常に頭に入れて、早め早めに少しずつ対策しておくと、私みたいな失敗をせずに済むと思います。
後回しになりがちな2次試験対策ですが、できるだけ早く準備をスタートさせ、できれば半年から1年間の準備期間を経て、一次試験合格後、慌てずにすむように計画を立てると良いと思います。
ガイドラインの熟読と過去問分析!
試験を受けて合格するためには、その試験の出題傾向をしっかりと把握することが一番重要です。
兵法でいうところの基本、まずは、「敵を知る」ということですね。
毎年発表される試験に関するガイドラインをくまなく熟読し、試験に関する情報をできるだけ集めましょう。
現在では、合格者の体験談などもネット上で検索してたくさん見つけることができますから、最初は情報収集をしっかり行いましょう。
過去問や模擬試験などもできるだけたくさん集めることが大事です。
むしろ、どれだけ多くの過去問を集められるかというのは、準備において非常に重要なポイントだと思います。
過去問をじっくり眺めてみると、傾向が見えてくると思います。
私の場合は、出題範囲のカテゴリーが見えてきました。
出題範囲をカテゴリー別に整理!
過去に出題されたものや、受験対策本などの書籍で重要ポイントとして挙げられているような内容は、出題される可能性の高い分野ですから、しっかり学習しておく必要があります。
私の場合は、出題範囲を分析したら、カテゴリーが見えてきましたので、まず、カテゴリー別に分類してみました。
以下が、出題カテゴリーの例です。
出題されそうなカテゴリーのリスト【例】
- 宗教
- 日本人
- 日本文化
- 和食
- 文化行事
- スポーツ
- 政治
- 経済
- 生活習慣
- 宿泊関連情報
- 教育
- 観光地
- 交通機関情報
- 日本の歴史
- 日本の地理
- 娯楽
- ポップカルチャー
- エンターテインメント
- 流行
- ガイドとしての資質に関すること
予想問題をリストアップする!
例えば、出題された問題はもちろん、対策本で挙げられている内容などで、出題の可能性のあるワードや質問をできる限りリストアップしてみます。
過去問があれば過去問、模擬試験があればその内容を利用できますし、もしなければ、自分で質問を予想して作ってみましょう。
こんなもの試験に出ないよ~!と思うものでも、とりあえず最初はできるだけ自由にリストアップしてみましょう。
例えば、上で挙げたカテゴリーの最初にある「日本の宗教」に関する質問を例に挙げて、出題されそうなことをリストアップしてみますね。
ぱっと見て、外国語でわかりやすくすらすら説明できるか試してみてください!
【宗教カテゴリーの質問の例】
- 日本には、どんな宗教がある?
- 神道とは?
- 仏教とは?
- 神道と仏教は何が違う?
- 日本社会における宗教の役割とは?
- お線香
- 仏像
- 大仏
- 地蔵
- 数珠
- 禅宗
- 坐禅
- 神輿
- おはらい
- おみくじ
- おまもり
- 絵馬
- 賽銭箱
- 稲荷神社
- 日本のキリスト教
- 儒教
資料収集 & 自分なりの解答を作成する
例えば、宗教のカテゴリーで、上のような内容をスラスラと外国語で説明できる方は、二次試験対策はスムーズに進むと思います。
普段から外国語を使って何かを説明する機会がたくさんあるという方にとっては、比較的簡単な面接試験となるでしょう。
ただ、外国語を話す機会が少ない方や、全然、語学と関係ない仕事をしているなどの場合は、自分で学ぶ環境を作り出さないといけないと思います。
上のような質問集に対して、自分の答えを作ってみてください。
最初は慣れないため、予想外に1つの答えを作成することに時間がかかったりして大変だと思います。
ですから、慣れるまでは市販の本など日本語と英語で書かれた書籍などを参考にして、自分なりの答えを作成すると効率が良いと思います。
書籍を集めてきて、調べて、そのままの表現では自分で話して説明しにくいと思いますので、自分なりに言いやすい、表現しやすくて口からスラスラと出てくる英語に直して、自分なりの答えを作るという作業が一番重要なプロセスです。
以下の書籍は、私が二次試験対策として活用した本の一部です。
この他、図書館の本、過去問や模試の問題、ハロー通訳アカデミーが出版していた書籍なども利用して、自分なりの回答を作成しました。
2次試験対策に利用した書籍の例
これは、一部でして、他にもたくさんの書籍を購入しましたが、よく利用した本の例です。
ロンリープラネット「Japan」
ものすごくたくさん活用しました!
英語で話す「日本」
バイリンガルで書いてあり助かります!
日本まるごと事典
英語で読む日本史
シンプルな英語で日本を紹介する
口に出してくり返し練習する
ここまでは、受験対策学習においてインプット中心の学習でしたが、ここからが2次試験に向けて非常に大事なアウトプットの作業に入ります。
口頭でのくり返し練習は、とにかく地道な練習のため、なかなか続けられないという人も多いと思います。
しかし、1回にこなすタスクを小さくして、できるだけハードルを低く設定し、達成感を味わいやすい工夫や、自分が取り組みやすい方法を考案して、しっかり取り組んでほしいと思います。
自分で作った質問に対する回答でも、実際に口に出して説明してみると、スラスラと言えないことが多いです。
書く文章と、実際に内容を覚えて話す文章は異なることが多いです。
面接試験では、予想外の質問にも冷静にわかりやすく答えられるように練習しなければいけませんので、本に使われているような難しい語彙は無理に使わず、すぐに使える表現を中心に、シンプルでわかりやすく伝える練習をすると良いでしょう。
毎日少しずつでも良いので、練習をくり返して、どんな質問にもスラスラと言えるように、達成感を味わいながら進められるようなペースで取り組んでいくと良いと思います。
慣れというものは不思議なもので、毎日続けてゆくと、どんどん成長していくことを実感できます。
アウトプットの機会を設ける
実際に自分の作成した説明文を自分一人で練習して試験に臨んでも大丈夫な方も、もちろんおられると思いますが、可能ならば、自分の説明をネイティブスピーカーに聞いてもらう機会を作ると良いです。
実際に私は、説明文を作る作業はできても、覚えて発表してみるというプロセスが1人ではどうしても滞ってしまったため、週に1回はネイティブスピーカーの先生のレッスンを受けていました。
多少の投資は必要になりますが、独学だけでは、2次試験対策はどうしてもモチベーションの維持が難しかったので、ネイティブレッスンを探して申し込みました。
レッスンでは、私が用意した予想問題をネイティブ先生にランダムに出してもらいました。
1週間かけて覚えていった自分の解答を聞いてもらい、表現のわかりにくい部分や、文法的に間違えているところを指摘してもらったりしました。
また、ネイティブスピーカーから見て、より内容を深堀りした質問も自由にしてもらい、それによって英語でわかりやすく説明する力を磨けたと思っています。
この勉強方法の良いところは、人に聞いてもらう機会を設けることで、締め切りがあるという強制力が働いて、勉強の後回しが減ることです。
来週のレッスンまでに、ここまで覚えなければならない、というプレッシャーと、お金を払っているというコスト意識によって、結果的に短時間で効果的に多くのことを覚えることができたと思います。
また、一人で練習していた時にはスラスラ言えた文章も、相手がいる状態で説明しようとすると、緊張して頭が真っ白になって何も言葉が出てこないという経験もたくさんしました。
慣れれば堂々と話せるようになりますし、大切なことは場数を踏むことだと思います。
2次試験ではプレゼンテーションのスキルも試されますので、ぜひ誰かの前で説明する機会を定期的に作ることをおすすめします。
全国通訳案内士2次試験対策・まとめ
今回は、自分の2次試験対策の経験をもとに、7つの段階に分けて準備方法や具体的な勉強方法を紹介しました。
お1人でも多くの方のお役に立てればと思います。