前回は、試験合格後に、新人ガイド研修に参加することをおすすめしました。
しかし、新人研修に参加しても、その後、何のアクションも起こさなければ、ただ研修に参加したというだけですから、いくら待っていても仕事はやってきません。
今回は、前回に引き続き、通訳案内士が合格後に仕事を得る方法について、私の経験を元にまとめてみました。
Contents
合格後に仕事を得る方法【その2】通訳案内士団体に所属する
新人ガイド研修に参加された方は、可能な限り、研修で出会った方々とのつながりを大切にすると良いと思います。
参加者の中には、全くの初心者もいれば、中堅ガイドやベテランガイドなどの先輩ガイドにも出会えます。
私はガイド研修でさまざまな方と情報交換をした中で、多くの人はどこかのガイド団体に所属しているということを知りました。
当時、自分の県にはガイド団体がまだできていなかったのですが、関西の団体に所属しているガイドの方と仲良くなれたことがきっかけで、そちらの団体にまず所属してみることにしました。
もし都合がつかず、新人ガイド研修に参加できなかった方も、この方法は可能だと思います。
通訳案内士団体に所属するメリット
通訳案内士団体に所属するメリットについて、4点挙げてまとめてみました。
有益な情報が入ってくる
通訳案内士の団体には、個人では得られない情報がたくさん入ってきます。
例えば、団体には観光庁や都道府県からのお知らせや、インバウンド会社からの依頼、海外のお客様からの依頼など、仕事に関連する情報が集まります。
そして、多くの団体では、グループメールなどを使って、会員全体で情報共有を行っているようです。
個人では国や都道府県からの案内を受け取ることはできませんし、さまざまなお知らせや仕事の情報が回ってくることで、観光業界の様子を知ることもできるため、新人にとっては非常に有益なことだと思います。
仲間ができる
団体に所属する大きな利点は、仲間ができるということです。
人数自体が少ない職種ですから、団体などに所属しないと、ガイドに出会える機会もなかなかありません。
同じ試験を合格した仲間が増えることは、純粋に嬉しいことですね。
また、先輩ガイドと知り合いになることで、仕事を得る方法やガイドのやり方など、1人では学べないことを、他の多くの人から学ぶことができます。
情報共有をしたり、仕事の状況を伝えあったり、時にはなぐさめ合ったりと、貴重な仲間と出会うことができるでしょう。
研修がある
ガイド団体は、独自の研修を行っていることが多いです。
現地に出向いて実際にガイディングを練習する研修もあれば、座学で知識や教養を得たり、語学力を磨く研修もあると思います。
1人で研修しようとしても、強制力が働かず先延ばししてしまったり、1人では学ぶ事柄が限られてしまいます。
しかし、志を同じくするガイドの仲間が集まって研修を行うと、切磋琢磨をして学ぶことができ、利点が多いです。
仕事のチャンスがある
研修に参加して、自分に仕事をしたいという意欲があることが団体の中で知られて、認められていくと、仕事に巡り合える可能性が高まると思います。
団体に所属しているものの、実際はフルタイムの仕事をしていて時間的な都合でガイドの仕事をできない人もいますし、勇気がない、スキルが足りないなどの理由から、実際にガイドの仕事をしてみることに抵抗を感じている人もいます。
そのような中で、研修に積極的に参加して顔を売り、仕事への前向きな意欲を見せ、また、態度やコミュニケーション力などが認められていくと、次はあの人にお願いしようという流れが起きてくるのではないかと思います。
逆に、自分は仕事を全くする気がないというオーラが出ている方には、回ってこないと思います。
通訳案内士団体に所属する際の注意点
以下は、団体に所属して仕事を得られるようになるためのコツや注意点についてまとめました。
自分のポリシーに合う団体を選ぶ
全国にはさまざまな通訳案内士団体が存在します。そして、各団体のポリシーもさまざまです。
例えば、研修が主な目的の団体もあれば、仕事を多く獲得することがメインの団体もあります。
ですから、自分の状況や希望、将来展望などに合わせて、自分にふさわしいと思う団体を選ぶ方が良いと思います。
私が、新人研修後に参加した通訳ガイド団体は、研修の回数が多く、内容も充実しており、新人ガイドにとっては学ぶことが多い団体でした。
しっかりしたポリシーを調べずに所属してしまって、付いていけなかったということのないように、団体に所属している人から直接話を聞いたり、ウェブ検索などで調べたりして、しっかり情報収集をしてから選ぶと良いでしょう。
ルールに従う
社会人として当然のことですが、団体に所属する際には、規約などへの同意が求められます。
当たり前ですが、ルールを守れない方は、所属し続けることができません。
しっかり規約を読んで理解し、団体に迷惑をかけるようなことをしてはいけません。
リアクションを必ずする
団体に所属すると、会費納入の依頼や、研修参加の出欠確認など、本部とのメールでのやり取りが発生します。
その際に、数日間メールを放置したり、期日までに返信をしなかったりなど、ルーズな対応をしてしまうと、仕事は遠のいていってしまいます。
というのは、メールを送信している団体の本部の方は、会員のリアクションをチェックしているからです。
仕事の依頼が来た場合、企業やお客様からの問い合わせに対して、ガイドは速やかにメールや電話で対応する必要があります。
団体の内部のメールだとしても、「一事が万事」ですから、団体内部の出欠確認メールに返信1つできない人に、仕事は回ってこないでしょう。
仕事をアサインする立場の方の身になって、常に本部からの情報には敏感になり、できるだけ速やかに連絡事項にリアクションをしましょう。
顔を売る
ガイド団体に所属すると、総会が開催されたり、研修が行われますので、多くの他のガイドと出会う機会があります。
そのような時に、できるだけ多くの人と交流し、自分のことを知ってもらいましょう。
人と人とのネットワークが築かれていくと、例えば、他のガイドが急にできなくなった仕事の依頼が自分に舞い込んできたり、自分が得意とする分野の仕事の依頼が回ってきたりします。
自分の得意分野を周りに発信することはとても大切です。
英語の他にドイツ語などの別の言語が得意とか、エンジニアの仕事をしていて、産業関連のツアーが得意など、得意分野を発信することで、周りの人はその人にふさわしい依頼をするようになっていくでしょう。
普段の立ち居振る舞いが大事
普段から、ガイドに必要なホスピタリティ精神や、前向きな態度を大切にしましょう。
普段の態度を他のガイドはチェックしているものです。
- あの人は、必ずといって良いほど、研修に遅刻してくる
- あの人は、肝心な時に全然連絡が取れない
- あの人は、あいさつができず、愛想が悪い
ガイド業は、お客様をご案内するサービス業ですから、最低限のマナーが守れない人は、チェックされていると思います。
いくら仕事を得たいと思っても、社会人としての立ち居振る舞いができない人には仕事を獲得することは難しいと思います。
通訳案内士団体に所属する・まとめ
今回は、オーソドックスですが、団体に所属することについて、メリットや注意点も含めてご紹介しました。
私も新人の時は、そもそも観光業の要領が全然わからなかったため、ガイド団体に所属して良かったと思っています。
現在も団体に所属して、仲間と切磋琢磨、新しいことに取り組めていると思います。
団体はWeb検索で見つかりますし、ぜひ迷っておられる方は、どこかの団体に参加してみると良いと思います。