通訳案内士が合格後に仕事を得る方法というテーマで私の実体験をシリーズでお届けしております。
今回は、「旅行会社に所属する」という方法を紹介します。
通訳案内士が合格後に仕事を得る方法③【旅行会社に所属する】
新人研修を受けた後、全くの未経験で通訳案内士としての仕事を個人で得ることは難しいですが、一つ一つ業界のことを学びながら経験を積むためにおすすめの方法が、旅行会社に登録するという方法です。
履歴書を持って面接に行こう!
多くのインバウンド会社や大手旅行会社は、語学堪能でおもてなし精神の豊富な添乗員や通訳案内士を募集しています。
観光業が未経験でも、研修制度がしっかりしていたり、会社内の先輩から様々なことを学べたり、実際に仕事をこなしながら、経験を通して学ぶことができますので、旅行会社に所属するメリットはたくさんあります。
旅行会社の募集が出ていたら、勇気を出して、ガイド登録してみるというのは一つの方法です。
必ず面接が必要になりますが、しっかり自分のことをPRして、売りましょう。面接で落とされてしまったら、それは、何かが足りないということでしょうか。
他の会社もいろいろ当たってみること、それで、全部落とされたら、もしかしたら、向いていないと判断されたのかもしれません。
その時はその時で、別の方法や、別の道を考えてみたら良いと思います。
注意!ハイレベルな募集には手を挙げない!
試験に合格したばかりの新人さんでしたら、いきなり「スルーの通訳ガイド募集」といった、ハイレベルな仕事を要求されるガイド募集に手を挙げるのはおすすめしません。
たとえ、応募しても落とされると思うからです。
スルーガイドというのは、1週間とか、数日間かけて1つの団体を最初から最後までお付き合いするという、難易度が高いツアーです。
これは、試験に受かっただけの新人では、なかなかハードな仕事だと思います。
しっかりと下積みの経験を積んでから、自信を持てるようになってから応募すると良いと思います。
旅行会社に所属する6つのメリット
ここからは、私の経験談ですので、誰にでも当てはまる一般論ではありません。
これから、旅行会社に所属しようか迷っておられる方への、何かしらの参考になればと思います。
添乗員免許を取得できる
添乗員免許(旅程管理主任者資格)は、旅行会社に所属すると取得しやすいです。
そしてこの免許は、通訳案内士にとって、かなり有益な、即戦力になれる資格です。
資格取得には、座学に加えて、実際にツアーで添乗研修を2日ほど受ける必要があり、個人で取得することは可能だとは思いますが、旅行会社に所属した方がスムーズです。
私は、最初、大手旅行会社に面接に行き、通訳案内士だけれども、全くの未経験なので、添乗員としてスタートしたいということを伝えました。
添乗員になることは、一見、遠回りのように見えます。
ですが、私は全くの素人でしたし、自信が全くなかったので、添乗員として、観光業界の中で、一つ一つスキルを身につけることで、通訳ガイドになれる自信が徐々に湧いてきました。
研修や先輩から学べる
ベテランの先輩の知恵や知識、経験談などは、その一つ一つがヒントであり、宝です。
1人では学べないことを、先輩や研修から、大いに学ぶことができます。
特に、社会情勢のことや、個人情報の取り扱いといった法律的なことなど、1人で学ぶと情報収集が大変なことでも、会社や組織の力を借りて、効率的にスキルを身につけることができます。
また、私が所属していた旅行会社には、優秀な先輩がたくさんいて、しかも、丁寧に様々なことを背中を見せながら教えて下さいました。
個人では、成長が遅いと思いますが、人的資源、会社の持つ知恵や力、さまざまなことを利用させてもらい、大きく成長できることがメリットの1つです。
仕事の経験を積むことができる
旅行会社に所属すると、当然ですが、仕事が割り当てられます。私にとっての新人としての仕事は、添乗員としての仕事でありました。
新人なので、先輩の仕事に同行するところから始まり、初の添乗員デビューも果たしました。
そして、大きなミスをしないように努力する中で、私の成長とともに、大きい仕事が割り当てられていくようになりました。
1つ1つの与えられた仕事を、精一杯準備して、全力で取り組む。最初は、それだけに焦点をしぼって頑張りました。
お客様が楽しんでもらえた、満足してもらえた、という状態が続けば、少しずつ自分に自信がもてるようになってゆきますし、会社からも、「あの人は大丈夫!」と認められるようになっていきます。
会社に認められたら通訳ガイドの依頼が来る
最初は、添乗員の仕事だけをこなしていましたが、徐々に仕事ぶりが認められるようになってくると、通訳ガイドの依頼も来るようになりました。
最初は、海外のお客様を空港に迎えに行くというお仕事でした。
比較的簡単なお仕事からのスタートでしたが、一つの仕事に、120%以上の準備をしてのぞみました。
満足いただけるようなサービスを提供することで、会社からも認められ、更に大きな仕事が来るようになります。
通訳ガイドの仕事を頼まれたら?
1つ目の仕事を大事にする
依頼を受けたら、その仕事を、今の自分の最大の力を発揮できるよう準備してのぞみ、良い結果につなげることが一番大事です。
良い結果というのは、お客様の満足度です。
会社は、通訳ガイドがどのような仕事をするのか、お客様や、派遣された会社などの反応やクレームに敏感です。
まずは、一つ目の仕事を大切にし、お客様に満足していただけるよう、できうる限りの精一杯の努力をしましょう。
会社はクレームを恐れる
比較的簡単だと思われる仕事がきても、当たり前ですが、手を抜いてはいけないです。
簡単な仕事で出来不出来をチェックされていると考えましょう。
特に、チェックするところは、メールや電話などの連絡へのリアクションやホウレンソウ。
あいさつや身だしなみはもちろんのこと、遅刻や態度なども重要です。
当たり前のことといえば、それまでですが、些細なことをおろそかにしない人が最終的には多くの依頼が来る人になるでしょう。
失敗すると次の仕事は来ない
お客様の満足度が高いと次の依頼が来る半面、失敗してしまうと、特に、それが取り返しのつかないような内容であった場合、次の依頼は遠のくと思います。
あの人に任せたらクレームが来た!とか、あの人のせいで、会社の評判が悪くなった!など、復活できる程度のミスであれば良いですが、大きなミスをしてしまうと致命的です。
会社にはイメージというものがあり、それにふさわしい行動をとれること、身だしなみから言葉づかい、立ち居振る舞いからクレームへの対処法など、できるだけ自分を磨いて、満足度の高いツアーを目指しましょう。
スキルアップは常に欠かせない
自分の弱いところを知るということは、ショックもありますが、成長の機会ととらえて、スキルアップをすると良いと思います。
私の場合は、人前でより上手に話すことができるように、パブリックスピーキング力をもっと磨きたいと思いました。
英語力ももちろん磨きたい、そして、どんなことでも表現できるようになりたいと、強く思うようになりました。
これで良いというところはないと思うので、常に、上を目指して、お客様に満足していただくことを目指して、日々、スキルアップに取り組んでゆくのがプロとしての使命だと思います。
まとめ
今回は、「旅行会社に所属する」という方法について、具体例とともに紹介しました。
フリーの通訳案内士として活躍することは理想的ですが、いきなりフリーランスは自信がないという方、未経験だから、少しでも経験値を上げたいという方には、旅行会社の門を叩く、ということをおすすめします。