英検1級と全国通訳案内士試験は、果たしてどちらが受かりやすいのだろうか?
どちらも難関資格だとは聞いているが、英検1級か、通訳案内士試験、どちらを先に受験する方が良いのだろうか?
このページにたどり着いた方の多くは、そのような疑問を持っているかもしれません。
今回は、両資格の保有者としての体験談を通して、できる限りわかりやすく比較してみたいと思います。
英語が全くできなかった18歳
もっと早く、もっと真面目に勉強しておけば、より早い段階で受かっただろうに、、、と思ってはいるのですが、事実は事実ですから紹介します。
私は、恥ずかしながら、あんまり真面目な学習者ではないです。
遊び好きで、お笑い好きで、勉強はテスト直前のギリギリになるまでやらない感じの、ごく一般的などこにでもいるような若者でした。
高校時代もそんなに勉強せず、一応、大学には入学しましたが、遊びやバイトで忙しい平均的な学生でした。
当然、全くと言っていいほど、英語を話すことはできませんでした。
私がたどった合格への道のり
受験生なのに遊んでばっかりいたので、案の定、センター試験に失敗しまして、第一志望の大学に行くことができず、親と担任の先生が進める、自分ではあまり行きたくなかった第二志望の大学に進むことになったのですが、やっぱり大学も学部も、自分に合わない感じで、何とか他の道を模索しなければと思って、がんばることに決めたものが英語でした。
だから、全然英語ができない、実力ゼロからのスタートでした。
英語力というのは、テストの結果では図れない部分もあると思うのですが、目に見える形でスコアが出るものとして、資格試験は一応の自分の実力の目安にはなると思います。
私の場合は、以下のような流れで、いくつかの英語の試験を通過してきました。
(ここではTOEICやTOEFLは省きます!)
★英検2級(大学1年生)
★英検準1級(大学3年生)
★全国通訳案内士試験(31歳)
★英検1級(38歳)
私個人の体験から比較してみますと、英検1級の方が、手ごわかったです。
言い換えると、通訳案内士試験が比較的受かりやすいレベルに変わったので、そちらを先に受けたということです。
ただ、全国通訳案内士試験の二次試験対策で、相当、スピーキングの訓練を積んだので、その点では、英検1級の1次試験を突破した後の2次試験はスムーズに1発合格できました。
いずれにせよ、全く英会話が苦手だった私が、かなり訓練してスピーキング力をアップするために努力を重ねられたことは、通訳案内士の2次試験、英検1級の2次試験があったおかげです。
受験しなければ、スピーキングの練習をする必要もないですし、それをやらなくても生きていける日本ですから、この2つの試験の受験体験を通して、スピーキングについてすごく考えたり、試行錯誤した経験は貴重な宝物だと思っています。
運も実力のうち!時代の流れに乗ってみた!
私がちょうど通訳案内士の試験を受験しようかと思って試験に関する情報収集を開始した時期は、2007年頃だったと思います。
その頃は、これからのインバウンド需要の拡大を見込んで、通訳案内士を増やそうという機運が高まっていました。
そのため、1%~5%くらいしか合格しないと言われていた難関資格でありましたが、試験内容を易しくして合格率を上げようという試みが行われているような時期でありました。
本来なら受からないレベルの私でも、真剣に目指したら受かるのではないかという希望的観測もありまして、目指してみようという気持ちになりました。
英検準1級に合格した後、すぐさま1級を受けたことがありますが、あまりのレベルの差に、もう1級は無理だ~、、、と思っていました。
ですので、英検1級の勉強をするよりも、ガイド試験の方が、私にとっては興味もあり、学習に取り組みやすかったという理由もあります。
実力ゼロでも努力の継続で合格可能!
合格が手の届く範囲に見えてくると、やる気って湧いてくるものだと感じました。
準1級のレベルの自分が、1級を受けた時、実力が全然足りないことに気づきまして、1級合格は自分にとっては、はるか夢のまた夢のように感じたのは事実です。
でも、ガイド試験は何となく手の届くところにあって、頑張れば受かるような気がしまして、まず挑戦しました。
ガイド試験は無事合格できたのですが、その後に感じていたのは、「時代の流れに沿って運よく受かっただけだろうな、、、」という後ろめたい気持ちです。
そして、実際にガイドの仕事をするにあたり、やはり、1級レベルの実力も最低限必要だという壁に何回かぶち当たりましたので、その後、グダグダと目標を定めるまでに時間がかかったのですが、必要性に迫られて1級を目指して勉強をして、努力の先に突破できたという感じです。
本当にすごい人はすごくて、上には上がいるのですが、私の場合は、「勉強嫌い&遊び好き」な性格ですから、とにかく努力一筋という感じです。
実力がないから、努力の継続、これだけで乗り切ってきた気がします。
そして、日々の学習に面白みを感じられるよう工夫することで乗り切った感じです。
だから、今、英語力がないと思っておられる方、自分はあまり賢くないと思っておられる方も多いと思いますが、決して悲観せず、私みたいな平々凡々なレベルの者でも、努力の継続で勉強を楽しく工夫して続けることで、達成できるのだということを知ってほしいです。
通訳ガイド試験も、英検1級も、勉強のやり方を工夫すれば、独学で目指せるものです。
自分で工夫して学習すれば、特別な学校に通う必要もないと思います。
どうしても1年以内とか、2年以内など、素早くスムーズに合格したい場合は専門の学校や、通信コースをおすすめします。
自力で頑張りたい!という人については、独学でそんなにお金をかけることもなく、合格できると私は思います。
お金をかけたら早く受かるかもしれませんが、かけない場合は、かなりの時間を確保しないといけないです。
英語力アップは時間の確保!これが鉄則!
英検1級と通訳案内士試験の難易度比較(2020年現在)
話が随分脱線しましたが、本来の目的である、難易度の比較をしていきたいと思います。
試験内容は、数年ごとに内容や出題方法が変更されたりしますので、2020年現在での比較です。
実際に、私が受験した時期と現在では、試験内容に変化がありますので、今後も変わるかもしれません。
全国通訳案内士の1次試験について
1次試験は、マークシート式の筆記試験で、5科目あります。
そのうち4科目は日本語での邦文試験になりますので、英語の実力を試す英文試験は1つだけです。
近年、通訳案内士の仕事現場で必要となる知識として、実務の試験が加わりました。(←これは個人的に大賛成!)
ピンクは邦文試験、黄色は英文試験です。
日本地理)
日本歴史
一般常識
通訳案内士実務
英語(長文読解、日本的事象の説明、英文和訳、和文英訳、要約スキルなど)
英検には邦文試験はありませんので、日本の地理や歴史が苦手な人にとっては、大変難しい試験となるでしょう。
日本文化や日本人に関する知識や教養がある人や、その分野に興味がある人にとっては勉強する過程を楽しめると思います。
英語のリスニングテストがありませんので、リスニングテストが苦手な人にとってはラッキーな試験だと思います。
また、「通訳案内士試験だけ受けてみるが、現場で仕事をする気はない!」という人にとって、通訳案内士実務のテストは、意味がわからず、試験勉強のモチベーションを維持するのは大変だと思います。
通訳スキルが試されるので、言いたいことを論理的に伝える力が必要な英検とは異なり、正しいことや伝えるべきことを正確に伝えられるかどうかがカギとなります。
そのテストも最近はマークシート式なので、難易度は下がっていると感じます。
英検1級の1次試験について
1級の1次試験は、その他の級と同様に、すべて英文の試験で、純粋に英語の4つのスキルを試される感じです。
英作文(英文エッセイ)以外は全てマークシート式です。
純粋に英語力のある人にとっては、長文の内容も面白く、楽しめる試験だと思います。
語彙問題が難しいという定評があります。
語彙力を身につければ長文はそれほど読解が難しくはないのですが、量が多いので時間との戦いです。
速読力や英文エッセイを論理的に豊富な語彙力でサラサラと書ける実力が試されます。
全国通訳案内士の2次試験について
2次試験の傾向は、徐々に時代の流れに合わせて変更されているようで、2020年現在では、通訳案内士の2次試験では、プレゼンテーションや逐次通訳の課題が課されているようです。
私が受験した2008年頃は、インタビューアーの質問に対して1分程度でわかりやすく答える形の質疑応答形式でしたが、近年の傾向は、より仕事を行う現場の状況に合わせて、必要なスキルを測るものとなっているようです。
ただ、問われる内容は、昔から日本文化にまつわることであり、試験のやり方は変わっても、テーマ自体は大きくは変わりません。
以下は、過去問を分析して2次試験対策に利用したカテゴリーや、質問のリストです。
質問は少なくとも1200問集めて、さまざまな本から集めてまとめた自分なりの答えを作り、質問に対してスムーズに答えられるような練習をたくさんしました。
1人ではきちんとやっているつもりでも、実際にテストのように実力を試してみると出来ていないことが多く、また、モチベーションを維持するためにも、週に1回程度、ネイティブスピーカーを相手に、質疑応答の訓練をしました。
仕事をしながらの学習は、時間を確保して続けてゆくことが大変な時期ではありましたが、自分ではこの練習の時期に比較的スピーキング力が上がったと思っています。
全国通訳案内士試験の二次試験でよく問われるトピックのカテゴリー
ガイドの適性に関する質問
基本的な観光情報(宿泊や交通機関など)
東京や東京周辺地域(日光、箱根、鎌倉等)の観光地
京都・奈良・大阪の観光地
関西地域の観光地
中部・北陸地方の観光地
中国・四国地方の観光地
九州・沖縄の観光地
北海道・東北地方の観光地
「日本での買い物」に関する質問
「温泉」に関する質問
「日本の地理や気候等」に関する質問
「日本の歴史」に関する質問
「芸術」に関する質問
「工芸」に関する質問
「庭園」に関する質問
「日本の宗教」に関する質問
「スポーツ」に関する質問
「ゲーム・競技」に関する質問
「日本人の生活習慣」に関する質問
「日本人の特徴」に関する質問
「日本の現代文化」に関する質問
「日本の経済」に関する質問
「日本の産業・ビジネス」に関する質問
「日本社会」に関する質問
「日本の教育」に関する質問
「日本語」に関する質問
「日本の象徴」に関する質問
「日本の文化行事・イベント」に関する質問
「和食・日本の食文化」に関する質問
有料noteになりますが、私が2次試験の受験前に集めた質問リストのサイトはこちらです。
これは自分の個人的な見解ですが、英検1級の2次試験をスムーズに通過できたのは、この1200問の練習があったからではないかと思っています。
様々なトピックについて、知識や教養と共に英語力を身につけられるガイド試験の2次試験の勉強を通して、英検1級の2次試験の対策も同時にできたのではないかと思います。
英検1級の2次試験について
英検1級では、2分の即興スピーチをする必要があります。
テーマは与えられた5つの中から1つ選ぶことができますが、たった1分で5つの中から1つのテーマを決め、さらにスピーチの構成を考える必要があるので、かなりの度胸と英語運用力を試される試験です。
私はできる限り過去問を集めて分析し、何度もシミュレーションをし、練習して本番に備えました。
出題されるテーマは多岐に渡ります。
以下は私が過去問を集める際にカテゴリー化したものです。
英検1級の二次試験でよく問われるトピックのカテゴリー
様々なトピックに対して、自分の意見を論理的に伝え、突っ込まれても持論を展開できる主張力と言いますか、分かりやすく伝えるスピーチ力、高いコミュニケーション能力、思考力を身につける必要があるでしょう。
対策としては、世界のニュースを見たり、普段から日本や海外の新聞や雑誌に目を通し、さまざまな話題について自分の意見を主張できるように日頃からアンテナを張っておくことが良いと思います。
また、スピーチ力は一朝一夕に身につけられるものではないので、ハイレベルな上級者向けの英会話レッスンを受講したり、パブリックスピーキングのサークルに参加したり、自分以外の人とスピーチや議論を練習する機会を設けると、かなり早くスキルアップが可能だと思います。
私は通訳案内士の2次試験の前に、グループレッスンやマンツーマンレッスンで特訓したこともあり、そのおかげもあってか、1級の2次試験はスムーズに合格できました。
トピックが異なるだけで、試される英語運用能力に関しては、英検も通訳案内士も2次試験の難易度はどちらも似ていると思います。
どちらのケースでも、言いたいことをスムーズに言える、そして、自信をもって論理的に分かりやすく説明できる力を身につけることが重要だと思います。
英検1級と全国通訳案内士試験の難易度比較・まとめ
ここまで2つの試験に絞って、経験者として比較をしてみましたが、どちらが簡単かというのは、ご本人の興味関心がどこにあるかによって異なると思います。
日本文化が好きな人にとっては、通訳案内士試験の方が簡単だと思いますし、純粋に英語力のスキルアップに興味がある方にとっては英検の方が5技能のスキルが必要となるので有効だと思います。
試験内容も難易度も、社会状況に応じて今後変わることもあると思いますが、目指したいのであれば、目標を設定して、一刻も早く学習をスタートすると良いと思います。
書き足りていない部分もあるかと思いますので、もしご質問や学習に対するご相談などありましたら、お気軽にお問合せフォームからご連絡下さい。
1人でも多くの方が、スキルアップされれ、それを仕事や人生に活かされること、成長されること願っております。