通訳案内士試験の受験勉強中の数名の方から、このブログを見てお問い合わせをいただきました。
あまり更新ができていない状態でお恥ずかしいブログですが、ご覧いただきまして、どうもありがとうございます。
学業やお仕事と、資格試験の勉強との両立は大変かとは思いますが、受験される方は、陰ながら応援していますので、頑張ってください!
よくある疑問やお問い合わせの中で、「通訳案内士の仕事はあるのか?」という質問があります。
今回は、現状を踏まえて、正直に質問に答えてみたいと思います。
仕事がないなら試験を受ける必要もない?
通訳案内士試験は、基本的には、将来、通訳案内士の仕事をしたいと思う方が受験する国家試験ですから、独立してやっていけるだけの仕事量があるのかないのか、ということは心配なことの1つだと思います。
私も実際、北陸在住で、十分に仕事があるのかどうかは、不安でしたし、現在も常に不安です。(笑)
ただ、弁護士や建築士の資格も、独立開業して営業活動を必要とする点では同じなのではないかと思うわけです。
資格を取得しても、その人の頑張り次第で、仕事は増えたり減ったりするのではないかと思います。
仕事の依頼が来たら、誠実に1つ1つ良い仕事をして、信用を着々と築いて行ける人には、仕事は集まってくるというのが社会の法則ではないでしょうか。
質の高いサービスを提供できる通訳案内士への需要は高まっていると、私は日々肌で感じでいます。
それを前提として、ご興味のある方は、以下も読んでいただければと思います。
関連リンク通訳案内士(通訳ガイド)資格の取得で得られる5つのメリット!
地方だけでは需要は無い
私は北陸の福井県在住で、福井県だけで仕事をしようと思っている限りは、需要はあまりありません。
ただ、地方在住の通訳ガイドだとしても、英語以外の言語ができるとか、全国を飛び回ることのできる通訳ガイドとして活動すれば需要はあると思います。
観光に力を入れている都道府県では、質の高い通訳ガイドへの需要はあると思います。
例えば、福井ではありませんが、近隣県の北陸在住通訳ガイドの友人は、ガイド業務だけで、春と秋のツアーのシーズンに集中して仕事をしながら1年分の生計を立てています。
(この方は、英語の他にフランス語の免許も持っておりますが、、、。)
都会在住でも英語だけでは勝負しにくい
観光庁のデータによると、英語の通訳案内士が約70%と圧倒的に大多数を占めており、都市部在住のガイドが約75%となっております。
つまり、都会での英語ガイド同志の競争力は凄まじいものがあると思います。
参考リンク通訳案内士制度の見直しについて【観光庁】
英語に関しては、全国的に資格取得者が圧倒的に多いので競争が激しいと思います。
例えば、大阪や京都は、仕事の依頼も多いですが、通訳ガイドも多いので、安く仕事を引き受けられる人にどんどん仕事が行ってしまう、という話も京都の通訳ガイドさんから聞きました。
通訳ガイドの仕事を増やすには、英語の他に、他の言語、例えば、フランス語、イタリア語、ポルトガル語、中国語、韓国語などができると、他のガイドに差をつけることができ、かなり有利になると思います。
求められる富裕層への対応力
外国人旅行客も多様化が進んでおり、さまざまなニーズに応えられる通訳ガイドが求められていると思います。
特に、VIP対応など、さまざまな注文の多い、富裕層の対応に自信がある方などは、優遇されるのではないかと思います。
規制が緩和されて、通訳案内士資格がなくても通訳案内ができるようになり、ただ軽く案内すれば良い仕事であったり、お土産屋さんに連れていくだけ、といった仕事なら、少し英語ができる添乗員でもできる仕事となり、そのような仕事は、資格がない人にも安い報酬で回っていくと思います。
しかし、富裕層となると、高い語学力に加え、幅広い教養やおもてなし精神が不可欠です。
そのような仕事は、ライセンスを持たないガイドには行きにくいと思います。
十分に経験を積んだ、高いスキルをもった、さまざまなニーズに応えられる方に、高額な報酬を払ってでもお願いしたい仕事だからです。
ガイド力+添乗技術+おもてなし力
どんな職業でも、プロとしてスキルのある人には仕事が集中すると思います。
規制緩和されて、資格がなくてもガイドができるようになったとはいえ、例えば、1週間のツアーを全部担当できる添乗技術とガイド力とおもてなし力を備えた通訳ガイドには、どんどん仕事が回ってくると思います。
1週間のツアーを引き受けるだけの、知識と教養、語学力、おもてなし力、添乗力、体力やユーモアのセンス、危機管理力や緊急事態への対応など、さまざまなスキルを必要としますが、そのような通訳ガイドへのニーズは高まっていると感じています。
マニアックなツアーへの対応力
外国人観光客の激増に伴って、お客様のニーズも多様化しています。
そのような現状の中で、何か特別に優れたスキルをもつ通訳案内士の方、例えば、富士山をガイドできる通訳ガイドとか、アニメオタクやラーメンオタク、ネイチャーガイドなど、マニアックなツアーを担当できるとか、そういう目立つ方や、発信できるガイドには、どんどん仕事が集まる気がします。
どんな職業にも当てはまると思いますが、評判の良い人はやはり仕事が増えると思います。
試験合格を目指すかどうかは自分次第
都道府県に登録している全国通訳案内士も、数年おきにライセンスの更新のための研修を受けることになりました。
詳細は観光庁のウェブサイトでご確認ください。
参考リンク通訳ガイド制度(観光庁HP)
つまり、試験合格後にも、実地で役立つ研修を受け、スキルアップやモチベーション維持をすることができます。
仕事をする気は全くなくて、ご自身の語学力を測るためだけに通訳案内士試験を受験するという方にとっては、現場で起こるさまざまな事例を想定した研修は、もしかしたら苦痛になるかもしれません。
ただ、この資格が「英検」や「TOEIC」などとの資格試験と大きく異なる点は、唯一の国家資格だということです。
資格を取得することで、無資格の方と差別化できるという点以外にも、さまざまな利点があると私は思っています。
別の記事でも書きましたが、将来の通訳や翻訳の仕事の役に立つ資格の1つではないかと思います。
高い目標を持っておられる方にとっては、通過点といいますか、登竜門と言える試験だと思います。
ぜひ、1人でも多くの方がチャレンジして、合格されることを祈っております。